2拠点生活でセカンドライフを楽しく生き抜く

50代で早期退職し、東京と長野で2拠点生活をしています。

ゴムクラブという喫茶店について

かつて神戸にゴムクラブという喫茶店があった

ふと昔のことを懐かしく思い出すことがある。

生まれてから大学を卒業するまで暮らしていた神戸には子供から大人になるまでの記憶が詰まっている。

今から振り返ると狭い世界だったが、個性的な場所もあった。

そのなかで今でもなぜか存在感を持った思い出となっている喫茶店がある。

ゴムクラブという店だ。

今では外出先でコーヒーを飲む場合、チェーン店に行くことが多い。

チェーン店が増える前は個性的な店に行くことが普通だった。

神戸にいた頃、面白い店を探してあちこち巡り歩くうちに行き当たった一つがゴムクラブだった。

店名のインパクトが強いが、ゴムの取引所が神戸にあったことに関連して付けられた名前だと聞いたことがある。

その由来を知ると店名までがプロのための場所らしく聞こえてくる。

神戸元町の大丸百貨店の近く、旧居留地と呼ばれる地域の古いビルの2階に入居していたその店は、天井が高くて壁一面に海運会社の航路図が貼ってあったことを覚えている。

古いソファと低いテーブルが置かれており、とても静かな大人の店という雰囲気だった。

ソファに腰掛けて注文するとおばあさんがワゴンにコーヒーを載せて来て給仕してくれるスタイルに面くらった記憶がある。

時が止まったような店内でコーヒーを飲み、ソファに体を預けてゆったりとした時間を楽しんで店を出ると、異世界で時間を過ごしたような気分が残った。
その後就職して神戸を離れ、時々神戸に帰ることがあってもゴムクラブに行くことはなかった。

そのうち震災が起きて街の姿が大きく変わってしまい、ゴムクラブを含む多くの古い店がなくなってしまい、その後の経緯を追うことも叶わなくなった。

ネットが普及する前の街や店の情報を追うことは難しく、断片的なことしか今ではわからない。

それでも時々ネットでゴムクラブに関連する情報を見つけると嬉しくなる。

最近では神戸ローカルの雑誌”神戸っ子”のエッセイでゴムクラブのことが触れられており、そこのマダムの名前も記載されていた。

https://kobecco.hpg.co.jp/88365/

そうするとあのワゴンを押してきてくれたおばあさんがその人だったのかもしれないと思うようになり、思い出の輪郭が少しはっきりするようになった。

一方で、ゴムクラブの備品や看板を引き取った喫茶店が営業しているというネットの記事を見た記憶があるが、最近探してみても見つからない。

記事を保存しておけばよかったと後悔する。

このようにして記憶は風化し、埋もれていくのだろう。