不確定要素が多い現在、住宅ローンはよく吟味すべき
住宅を買う時、多くの人は住宅ローンを組むと思われる。現金一括で購入する人は少数派だろう。住宅ローンを組む時に、どこで借りるか、金利の方式をどうするか、返済方式をどうするか、選択肢が多い。
自分で情報を集め、考え抜いた上で最適な商品を納得の上で選ぶ人がいる一方、住宅を購入する際に不動産屋さんのおすすめでよくわからないまま決めてしまうケースもあるだろう。
また、住宅を購入するという高揚感の中で、住宅ローンのことを深く考えない人もいるかもしれない。
しかし、長ければ35年間も付き合うことになる住宅ローンの内容を、深く知らずに組んでしまっていいのだろうか。
住宅ローンを借りている期間中、自分がどうなるのか、見通すことがますます難しくなっている。例えば失業したり、災害や病気に遭ったりして返済が難しくなる状況になるかもしれない。住宅ローンはしっかり吟味して選ぶべきである。
自分は深く考えずにローンを組んでしまった
とはいえ自分は土地を仲介してくれた不動産会社が紹介してくれた地銀でローンを組んだ。特に深く考えたわけではない。変動金利でとにかく低金利で借りて早めに返そう、ぐらいしか考えていなかった。
なので、住宅ローンについている特約についても特に気に留めなかった。とりあえず団信があれば自分に万が一のことがあっても大丈夫だと思っていた。だいたい、特約の内容がローンの決め手となった人はどれだけいるのだろうか。
深く考えずに借りた失業補償特約付きの住宅ローン
銀行によっては特徴を出すために、失業補償特約をつけているところがある。自分が今住んでいる家のローンを組んだ地銀(群馬銀行)は、この特約を売りにしていた。
特約の条件は自己都合に依らない、例えば会社都合での解雇、倒産などの失業である。失業1回あたり、最大6ヶ月間の住宅ローン返済を保険会社が肩代わりしてくれる。ボーナス払いの割増も保険対象だ。銀行の担当者が言うには、失業後、多くの人は半年で再就職しているからこれでいいのだそうだ。
また、使えるのは1回だけでなく、前回の自己都合によらない退職から一定期間が空けば再度使えるという内容だった。通算で36カ月まで保険金が出たと記憶している。この特約が使える年齢には上限もあったはずだ。
特約をフルに使うにはハードルが高い
ただ、実際問題として、この特約をフルに使うには、リストラや倒産などで最低でも6回も失業する必要がある。普通の人なら気持ちが折れてしまうし、よほど若い時から失業を繰り返さなければコンプリートできない。お守りとしての意味合いが大きいと思う。
私はローンの契約時、特に気にせず面白いおまけがついているくらいにしか思わなかった。当時は自分がこの特約を使うことになる可能性について考えもしなかった。
ちなみに、私が最初に勤めていた会社が倒産したのは31歳の時だった。2回目の会社都合の失業は52歳の時。
最初の失業時は会社の借り上げ契約物件に住んでいたので引っ越す必要があったが、ローンを抱えて失業するよりもはるかに気分的には楽だった。特約を使ってローン返済が免除されたのは2回目の失業の時だけだ。最大であと5回もこの特約を使える。
しかし、2回も会社都合で失業しただけでも自分の巡り合わせの悪さに凹んでいるのに、この特約が使える年齢上限まで、これ以上何度も会社都合で失業して平常心を保てる自信は、全くない。
疾病特約の方が有用なのでは?
そもそも失業することを前提に住宅ローンを借りる人は少ないだろうし、1回最大6カ月、通算36カ月程度のローン返済免除など、30年以上の返済期間からみればあてにならない。むしろ疾病特約のように、特定の状況になると返済が全額免除になる方が有用だろう。
6カ月の返済免除を受けるためには最低でも9カ月間失業する必要がある
実際の手続き上の問題としては、失業後すぐに住宅ローンの返済が免除されるわけではない。銀行にこの特約を使うことを申し出たうえで、手続きをするにあたり、退職関連の書類、ハローワークの求職手帳のコピーなどを提出する必要がある。書類が揃うまでに一定の時間がかかるし、そのうえ3カ月の待機期間が必要だ。その後、保険会社が住宅ローンの返済額相当の金額を振り込んでくれて、それが返済に当てられるという流れだ。6カ月分の返済の肩代わりを受けるためには、少なくとも9カ月以上は失業していないといけない。
また、毎月の求職活動の実績を報告する必要がある。ハローワークなどで見つけた求人に応募したりした実績を報告するのだ。群馬銀行の自宅からの最寄り支店が横浜だったので、東京の自宅から毎月横浜まで自転車で通い、書類を書いて提出した。良い運動になった。
借入金額が多い人ほど恩恵が大きく
自分は、無事に6カ月分フルに補償を受けたタイミングで、思いがけず再就職することになった。総じていうと、住宅ローンの失業補償はなくても困らないが、ボーナス月の割増を含む半年分の返済が浮いたのはそれなりに有り難かった。金額にして100万円程度のメリットがあった計算である。ローンの返済額が大きい人は、より大きな額のメリットを受けられるだろう。
余談だが、6カ月間の補償が切れる頃、銀行の担当者が電話をかけてきて、再就職の状況と今後の返済を心配しているような口ぶりで話してきた。再就職が決まったと話した途端、声のトーンが明るくなったの印象的だった。
補償期間が短い失業特約は有り難味が薄れる
この住宅ローンの失業補償特約について、日経新聞やニュースサイトの記事に取り上げられていた。https://www.nikkei.com/article/DGXMZO63338010S0A900C2MM8000/
そこで紹介されていたのは三井信託銀行の住宅ローンだが、失業補償特約の保険の引き受け会社は私が使っていたのと同じカーディフだった。大きく違うのは、返済を肩代わりしてくれるのが3カ月しかないということである。新型コロナウイルスの影響で失業が増えていることが影響しているのだろうか。
これでは失業のタイミングによってはボーナスの割増返済にかからなくなって、有り難みが薄れてしまう。
ただ、群馬銀行の場合、7大疾病特約と失業補償のどちらかしか選べないのに対して、三井信託銀行のプランは、疾病特約+失業補償となっている。
ある程度の年齢で疾病リスクと失業リスクの両方に対処したい人は、こちらで検討してもいいかもしれない。
住宅ローンの奥は深いと今更ながら思う。